GAZKID$では2021年4月より、「家庭でも取り組めるお金の教育(金融教育)」のサービス開発に取り組んでいます。
取り組み方としては、欧米のサービス内容を参考にしつつ、日本のマーケットにより合ったものを開発する為の調査となり、スタッフ家族をはじめ、モニター家族の協力を仰ぎ、実際に家庭で金融教育に取り組むとどのような結果を手に入れられるのか、というような検証を行っています。
そしてその中で我々が学んだことの一つに「金融教育と子どものやる気」は切っても切れない関係があるという事です。
今回の記事ではこのテーマについて一緒に学んで行きたいと思います。
【金融教育】
家庭で取り組む金融教育には「稼ぐ・使う・貯める・運用する」という4つの学習カテゴリーに取り組みます。
「稼ぐ」では各家庭で子どもたちがお小遣いを「稼ぐ」事が具体的な取り組みとなります。子どもたちは親が設定した作業タスクを行う事で、予め設定された金額をお小遣いとして「稼ぐ」ことになります。この取り組みを通じ子どもは以下のような内容を体験的に理解するようになります。また作業タスクでは「稼ぐ」上限があることも理解し、作業タスク以外にも「稼ぐ」方法がないかと考え、実際には不要になったものをメルカリなどで販売するという事も取り組むようになります。
- 稼ぐことは毎日「コツコツ」取り組む必要がある
- 稼ぎは一気に増えない
- 毎日コツコツ取り組むと手元のお金は徐々に増えていく
- 「稼ぐ」は色々な方法がある
「使う」では実際に稼いだお小遣いを使うことを体験します。また金融教育では電子決済を積極的に利用することをお勧めしているので、スマホを持っている子どもであればスマホ決済、スマホを持っていない子どもも保護者の決済アプリを応用し、子供に電子決済を利用してもらいます。そして子どもたちは稼いだお小遣いを「使う」事を通じて以下のような事を学んでもらいます。
- お金は使ったら無くなってしまう
- お金を使う際はなるべくお金を使わないようにすることが出来る(安く買う、より多くのポイントを稼ぐ)
「貯める」では、欲しいと思ったもので1000円以上するようなものを購入するために、お金を「貯める」ことに取り組みます。実際に家庭でお金の教育に取り組むと、子供が「あれ欲しい、これ欲しい」という購買欲求を「自分のお小遣い」で満たすという流れになります。お小遣いを「稼いでいる」のでその「お金」を使って買うという事が自然な流れとなるからです。実際に子どもの購買欲求を観察すると、お菓子や100均のおもちゃなど「100円~300円程度」の購買と、リカちゃん人形や高額な靴や衣類、文房具など「2000円~5000円」という購買に分かれます。
金融教育では少額な買い物に関しては手元にあるお金があれば比較的自由にお金を使わせても大丈夫だという調査が出ています。
しかし高額な買い物に関しては「欲しい」と思った時から「お金を貯めだす」という取り組みをさせることで「衝動買い」や「欲しいものを吟味する」、さらには「貯める」という体験学習が可能になるという事も分かっています。またお金を「貯める」事は災害や病気などの緊急な出費に備えるという事も口頭で説明し「貯める」事の大切さを説くようにします。「貯める」を通じて子供たちが学ぶことは以下の通りです。
- お金は簡単には貯まらない
- 欲しいものがあったときはすぐに買わないでその為のお金を貯め始め、自分の欲しいものをしっかりと自分で吟味する事が大切である
- 万が一の為など緊急な出費の為にお金を貯めておく必要がある
最後に「運用する」取り組みになりますが、これは「自分の為にお金を働かせる」という事を体験的に学びます。実際に未成年証券口座を開設し、自分の稼いだお小遣いを「少額投資」で運用します。保護者のサポートが必要となりますが、子どもは日々のお金の増減を体験し、金融市場における「相場」というものを体験学習することが出来ます。子ども達は「運用する」事を通じ以下のような事を学びます。
- お金を自分の為に働かせる
- 資産運用には相場というものがある
- 積み立てを行う事で少しずつ金融資産を増やすことができる
- 投資には時間が必要
【やる気が生まれる】
では、上記の取り組みで「やる気」と関わりが深いテーマはどれだと思いますか?実はお小遣いを「稼ぐ」取り組みとなります。
「やる気」を作り出すものには「内発的動機付け」と「外発的動機付け」という2種類の仕組みがあります。
「内発的動機付け」は興味や好奇心から作り出される「やる気」をさし、「外発的動機付け」は報酬、昇格、社会的責任、さらには罰則など外から受ける刺激によって作り出されるやる気となります。
そしてお小遣いを「稼ぐ」はこの「外発的動機付け」の報酬と深く関わりがあります。
実際にお小遣いを稼ぐという目的を持ち、設定された「作業タスク」で子どもたちが今まではやらなかったような事にも取り組む事が出来るようになるという事も調査で分かっています。例えば、中学2年生の男子が夜の食器洗いを毎晩やるようになったり、朝は早起きして学校の予習、帰宅後は学校の復習に毎日取り組むようになったり、さらには5歳児の女の子は朝の支度である「ご飯を食べる、着替える、歯ブラシをする」事が指定の時間までに終わらせられるようになったり、保育園から帰ってきたら、自分のリュックの中身である、着替え、水筒を所定の場所に出し、リュックも所定の位置に片付けるという事が出来るようになったという事です。中学生の男の子も、5歳児の女の子もそれまでは今述べたような事は一切できなかったという事です。
ではなぜ、お小遣いを「稼ぐ」事が、今までなかなかできなかったことに取り組む為の「やる気」を生み出すのでしょうか?子どもも「お金」の事を大人と同じように理解しているのでしょうか?この問いに対する解答こそ「外発的動機付け」の一つである「報酬」がもたらす「やる気」なのです。
大人の皆様も「報酬」が行動力になっていることはありませんか?
ダイエットや食事制限は「引き締まったからだ」と「健康」という「報酬」を手に入れる為に取り組みます。運動は「爽快感」という「報酬」を手に入れます。仕事だって「お給料」という「報酬」を手に入れ、なかなか足が向かない飲み会などの「お付き合い」も「円滑な人間関係」という「報酬」を手に入れる為に取り組むことだってあると思います。
このように人は「外発的動機付け」を積極的に利用して「やる気」を作り出しているわけですが、子供に取ってはお小遣いを「稼ぐ」という事が強い「外発的動機付け」として働く事で、なかなか取り組む事ができなかったような事にも「やる気」が得られ、行動を起こすことが出来るようになるのです。
【お金は報酬】
お金は「報酬」と直結している為、強い「外発的動機付け」となる事がGAZKID$の調査で分かりました。
またお金という報酬は「外発的動機付け」として長期に渡って働き続けるということも分かっています。
子どもであっても「もう〇〇円持っているからお金いらない」という事にはならず、お金を得ることができる間は常に「外発的動機付け」として働いてくれるようです。
それは「お金」が生活を守るものとして使われ、子どもにとっては「自立行動」をサポートしてくれるものとなるため、大人であっても子どもであっても「お金という報酬」は人に対して強い「外発的動機付け」として働くのだと考えています。
【金融教育とやる気】
金融教育はお金の教育であり、人生を通して必要なスキルを身に着ける教育となります。またお金は生涯を通じて「生活を守るために必要」です。
そして金融教育の中で学習するお小遣いを「稼ぐ」という事は「生活を守り」「自立をサポート」してくれるため、「外発的動機付け」が自然と働いてくれると考えることが出来るのです。
家庭で取り組む金融教育は子どもの金融リテラシーを向上させるのみならず、子ども達の日々の生活に「やる気」を与えてくれる教育ともなるのです。
補足情報のリンク:
コンテンツサイト:金融リテラシーとは?
コンテンツサイト:作業タスクの設定と深い関連がある「やる気」を作るもの「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」
コンテンツサイト:金融教育は3歳から始められる?
コンテンツサイト:「稼ぐ」を学ぶ際の「作業タスク」の内容と金額設定
note:『やらされる事』と『やりたい事』の違い
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