貯金する事を学ばせたきっかけ | 少し難しい判断だけど現実とはこういう事

貯金

12月も丁度半ばとなり、今年の終わりもいよいよ近づいてきたと感じますね。

コロナ禍が続く中、経済社会の面では、インフレ、そして円安が進むなど、未来への不安が募る一年でもありました。

みなさまはこの一年をどのように振り返るでしょうか?

お金の教育の目的は子どもたちが「社会と健全に関わり、経済的に自立し、より豊かな人生を実現する」事です。この目的に従い、家庭では子どもたちにお小遣いを「稼ぐ・使う・貯める・運用する」事を学ばせます。
本日のメルマガでは、この4つの学習カテゴリーの中でお小遣いを「貯める」事について掘り下げてみようと思います。

【お金を貯める事を学ぶ目的】

お小遣い(お金)を「貯める」事にはいくつかの目的があります。

一つ目の目的は、お金を貯めるという事は「将来の突然の出費に備える」事です。この「突然の出費」とは例えば病気や怪我、さらには災害など、予期せぬ出費の為に備えるという事です。また、このような目的の為の貯金はお給料の3か月分とか半年分と言われています。

二つ目の目的は、少額貯金や長期に渡る貯金など、短期または長期に渡って取り組む為の貯金であり、買いたいもの、欲しいものの為に行う貯金です。

短期的に取り組む貯金(少額貯金)では500円以上の物が欲しくなったら、欲しくなった時から貯金を始め、貯金が貯まったらその欲しかった物を買ってもいいという教育方法をGAZKID$は提案しています。また数千円から数万円するような物も同じ様に、欲しいと感じた時からその購入の為に貯金を始めるよう指導することを提案しています。

長期に渡る貯金は数十万円から数百万円という金額を貯める為の貯金となり、貯金目的は車や家の購入の為の頭金や結婚式を挙げるための資金、さらには学費の為の貯金となり、少し大人向けの貯金となります。

補足にはなりますが、「少額貯金」には「衝動買い」を回避する事を学ぶ意図も併せて持っています。なぜならば、子どもがデパートなどでおもちゃが欲しくなっても、その場を去ると数日のうちに欲しいという気持ちが徐々に薄れ、また別の物が欲しくなるという事が分かっているからです。

このような事を体験的に理解してもらうためにも、お金の教育に取り組んでいる際は、おもちゃなどを欲しくなった際はその為にお金を貯め始めるよう促し、貯まったときにまだ欲しかったら買おうねという学びを重ね、本人に買いたいという衝動とその衝動の消化プロセスを体験してもらいます。

【将来の突然の出費に備える事を学ばせる】

上述した二つ目の学習は比較的学びやすいのですが、一つ目の「将来の突然の出費に備える」事を学ばせることは口頭で説明しても子どもはなかなかピンと来ないようです。

大人になれば実体験や想像力を働かせて「将来の突然の出費に備える」事は現実的な事として理解することができますが、子どもたちにはその為の経験が不足しており、深い理解にはならないようです。

しかしながら、ふとしたきっかけで筆者の中学2年生の長男にこのことを学ばせる機会を得ることが出来たのです。

10月16日の日曜日に、2歳児の次女の運動会が行われました。

2歳児の長女にとっては初めての運動会となり、また中学2年生の長男にとっては、かわいがっている妹の運動会という事もあり、参加を希望し、この運動会を楽しみにしていました。

しかしこの運動会の当日の朝、彼は早朝にスケボーの練習に出かけたのです。そしてその時に彼はスケボーで転んでしまい、ひざと腰に負傷を負ってしまいました。幸い、骨などを痛めてしまうような怪我ではなく、擦り傷程度で済んだのですが、この擦り傷の範囲が大きく、完治に2週間程かかりました。

運動会の会場に到着した彼は両ひざから血を流し、腰からも血を流しているような状態だったのです。

彼にとっては初めての大きな怪我となる経験でした。

【貯金の大切さを身をもって知る】

彼はいつもスマホを持って友人たちと遊びに行きます。そしてそのスマホの中の電子マネーアプリに、作業タスクに取り組んで「稼いだ」お小遣いが入金されています。

そのお小遣いを使う為にはVISAプリペイドカードを使う必要がありますが、彼は外出する際は常にそのカードを持ち歩きます。なぜならば、基本的に彼はキャッシュレスであり、現金を持ち歩かず、何かを買う際は常にこのVISAプリペイドカードを利用するからです。

このようなお金の背景がある中、彼は10月16日の日曜日の朝、スケボーで転んで怪我を負い、両ひざと腰から血を垂れ流して2歳児の次女の運動会に登場したのでした。

それを見た筆者と妻は、当然驚きましたが、人の目を引いたので、コンビニに向かわせ応急処置をするように促しました。

その時彼は近くのコンビニに向かい、「自分のお金」で絆創膏を買い、応急処置をして運動会に参加したのでした。

運動会が終わり、その後彼の傷は2週間半ほどかけて傷口に薄い膜が形成され、ようやく絆創膏を張らなくても良い状態まで回復しました。

このプロセスの中、ふとしたタイミングで「絆創膏にいくらかかるか」という話をする時がありました。

傷が癒える間、傷が大きかったという事もあり、常備している絆創膏ではサイズが間に合わず、筆者夫婦は彼の為の絆創膏を行き付けの薬局で色々と探して購入する事となりました。

あまり絆創膏の値段は気にしたことが無かったのですが実際に買いに行くと、絆創膏は色々と種類があり、ガーゼだと傷が乾いたときに剝がせないのも困るので、「傷パワーパッド」というタイプの絆創膏を試してみることにしました。
しかしこの「傷パワーパッド」は意外と値段が高く、サイズが大きい物はさらに値段も張るのです。単純計算ですが、今回の怪我で3,000~4,000円分の絆創膏は買ったことになったと思います。最初は膿も出たので、毎日交換していたこともあり、想像以上の絆創膏代となったのです。

しかしこの出費ですが、彼がスケボーの練習を継続する以上、再び必要となる可能性は大いにあるわけです。

ですので、このタイミングを期に「将来の突然の出費の為の準備」の説明をする機会を持ち、長男にはこの怪我の為にかかった絆創膏代が4,000円近くまでなったこと、そして自分がスケボーを趣味とすることは、同じような怪我をしてしまう可能性があり、その為のお金の準備をしておくことはお金の現実であるという事も説明し、彼にはまた怪我をしたときに安心して絆創膏を買えるよう、この時の為に備えをする取り組みも始めたのでした。

将来突然の出費の為の貯金として貯めるように説明することが出来たのでした。

【まとめ】

お金の教育には「現実」と向き合う事がしばしば必要になります。お金の教育で得られる「より豊かな人生を実現する」為のスキルは、やはり現実的な側面を含むスキルとなります。

お金の教育に取り組み始めた当初、お金を「使う」際の方針は、衣食住や学校などで使う「必要なもの」などは引き続き保護者がお金を払うという方法で取り組んでいました。

しかしながらお金の教育を進める中で、お金を「使う」学習では「必要なものと欲しいもの」を区別する事を学ぶ事や、「欲しいものより」も「必要な物」から優先的にお金を使う事も学びました。

そして、お金の教育に取り組むご家族の中には、学校で使うような「必要なもの」も自分でお金を出させるという方法で取り組んでいる人もいることを知ったのです。

この事を知った際、わが家の当初の取り組みのように、子どもが「欲しいもの」を買う事ばかりを学ぶことでは現実に即した学習としては言えず、逆に「必要な物」だからこそ買わせるという方法の方が、「より豊かな人生を実現する」スキルを得る上では効果が高いのではと考えるようにもなったのです。

このような学びも元、今回の絆創膏はほとんど筆者が購入したものの、彼は自分の怪我の為に初めて自分で絆創膏を買うという経験をし、最終的には自分で自分の将来の出費に備えるという取り組みを始める事にしたのです。

お金の教育はまだまだ歴史が浅く、筆者はお金の教育のサービスの開発者としてわが家では実験的に色々な方法を試しています。

見方によっては「必要な物」の費用は親が出すべきであると考える方もいると思いますが、今回は「貯める」という事の現実的な側面を長男と学習する機会としてみたのです。

筆者夫婦も「必要な物」をそろえてあげるのは保護者の責任であるという考えを持っています。しかし一方で、お金の教育を家族で取り組み始め、既に1年と9カ月が経とうとしている中で得た学びもあります。

お金は現実的な要素を含み、子ども達もどこかのタイミングで自分の怪我や病気の際の対価を自分で支払う事と向き合う時が来るという事も理解できるようになりました。

大人になり、そのような時が来てから「将来の突然の出費に備える」事を学ぶよりも、今の内に金額的にも数百円、数千円で済む程度の段階で「貯金」の現実を教える方が、将来的にも本人の為になると考えるようにもなりました。

筆者家族はお金の教育を開発するという立場もあり、色々と挑戦しています。今回は、お金の教育に向き合う中で実験的に中学2年生と取り組んだ「貯める」経験を共有させていただきましたが、読者のみなさまが実際にお金の教育に取り組む際、何かのヒントになれば幸いです。

いよいよ来週お送りするメルマガが本年最後のメルマガとなります。

今年の終わりをより良く締めくくれるよう、スタッフ一同、心からお祈りしています!

それではまた来週!

補足情報のサイト:
コンテンツサイト:家庭教育の重要性 | 経済的な安定を作り上げる事 | より豊かな人生を実現する準備 
本:13歳からの億万長者入門 

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